高校生私人逮捕にみる日本社会の闇とPolice Brutality

東京の高校生が、ビラ配りをしていたところ近隣の中学校の副校長に私人逮捕され、20日間留置場で勾留されたという事件がありました。私は本件をTwitterで知り、そういえば私人逮捕とかいう制度もあったなあと思いながら記事を眺めていました。考えを深めると、本件に限らず日本社会の闇が見えてきました。 interschooljournal.officeblog.jp

本件の概要

本記事冒頭のISJ NEWSの記事のタイトルは『水泳授業のあり方問うビラ配った都立高生を副校長が「私人逮捕」 目黒区立第九中学校』となっており、一見すると自分の通う高校の副校長に逮捕されたように見えますね。実際は高校生が少し離れた位置にある中学校の副校長に私人逮捕されたようです。

両学校の間は歩いて15分ほどの距離にあり、どのような意図でこの学生がビラ配りをしていたのかは不明ですが、「政治的主張に賛同する中学生のメンバー集めが目的」であったというネット上の意見を見つけました。
たしかに、それはそうかもしれません。配っていたビラや、ISJ NEWSの編集長と関連する団体は特定の政治的主張を展開する政治団体のようです。

しかし、私が着目したいのはこの高校生の政治的主張の是非ではなく、警察や学校教育のありかたです。

本件の問題点

大きく分けて3つの問題点があります。

1. 警察・検察による人権を侵害した勾留

件の高校生(20歳)は警察署に20日間に渡って勾留されました。その中でおそらく警察や検察にいろいろと問い詰められ、有る事無い事調書に書かれそうになったでしょう。

検察が無理なストーリーや調書を作っても、事実と異なる調書にサインしなければいいと思われた方がいるかもしれません。でも、プロである警察官や検察官と 対峙 した時、素人は巧みな誘導や、勾留が長引くのではないかといった恐怖から、高い確率で事実と異なる調書にサインしてしまいがちだと思います。  検察は、「引き返せるチャンス」が何度もあったのに、最後まで自分たちのストーリーに固執して突き進んでいきました。筋書きと異なる日付が記された捜査報告書の存在を知った時、証人が供述を翻した時、主任検事が改竄を周囲に告白した時など、何度もチャンスがあったのにです。揚げ句に、私に懲役一年六月の求刑までした。(日本型組織の病を考える (角川新書) 著者: 村木 厚子より引用)

同様に拘束されたことのある方の本を読んだことがあり、その中で警察や検察は乱暴な取り調べを行うことが記載されています。その中で黙秘を貫いた高校生は本当にえらいと思います。 何よりも問題なのが、20日間も移動や身体の自由が保障されなかったことです。無罪にもかかわらず、学校やバイトにも行けず、おそらく家族との面会も制限され、異様な状況です。コロナで子供の学習の機会・権利の喪失が取り沙汰される中で、20日間も学生の自由を奪うことが許されるでしょうか。

2. 中学校副校長の法の認識の甘さ

youtu.be

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上の動画を見れば分かる通り、この副校長は権利とか法とかを無視し、自分の主張をひたすらに叶えようと必死です。教育者がそのようなことに無頓着でよいのでしょうか。学校という狭い社会の中で30年間も働いてきたら視野狭窄になり、俺がルールだとでもいわんばかりの態度です。
最近話題のツーブロ問題にも通底するところがあり、要はセンセーが正しいといえばそれが正しいんだ、議論の余地はないというような統治がまかり通っているのでしょう。

3. 文科相の責任逃れ

youtu.be 知らぬ存ぜぬ調査中がお得意の人たちです。こういう人たちが本当は現場をしっかり監督しなければなりませんよね。

日本の問題点

同調圧力ゆえに法律と権利に無頓着なのが日本人の特徴だと思います。対象的なのがアメリカで、市民が勝ち取った自由を維持するために法律と権利に意識が向いている人が多いと思います。
今回の一見では、前例通り・慣例通りに警察・教員だから何をしてもええんじゃと言わんばかりの傲慢さです。教員が学校の一歩外に出れば自分は王様でなくなるのにそれに気づいていないのが上の動画でよく分かると思います。日本ではBlack lives matterと意識高い系が唱えながらも、なぜかpolice brutalityを批判する人はごくわずかです。警察・検察のいい加減さを批判する時代がきてもいいのではないかと思います。

どう生きるべきか

長いものには巻かれろじゃないですけど、見て見ぬ振りというか、こういう事件に巻き込まれないようにするのが一番心理的にヘルシーな生き方だと思います。それで根本の解決になっていないのは重々承知ですが、短い寿命を目一杯楽しむにはこの対症療法が最大公約数的な自分としての解です。